プリンは本来、カラメルソースを敷いた容器に卵と砂糖と牛乳をまぜた液を流し、加熱して作る洋菓子です。このタンパク質を熱で固める作り方は、卵豆腐や茶碗蒸しとも共通しています。しかし、近年市販されているプリンは、ゼラチンなどのゲル化剤を使い、冷やしてゼリー状に固めたものが一般的。加熱しないためオーブンなどが不要で、高温になったものを再び冷却する手間もいらないため低コストで量産できます。舌触りがなめらかで弾力性があり、型崩れしにくいことも普及の要因になっています。この製法で作ったプリンには、品質表示欄に「ゲル化剤」という言葉が見られます(ハチ公プリンにも記載されています)。

リチャード・ギア主演の「HACHI約束の犬」が公開中、だからというわけでもないでしょうが、パッケージも可愛らしい「ハチ公プリン」をいただきました。
帰らぬ人となった主人を来る日も来る日も渋谷駅で待ち続けた「忠犬ハチ公」の銅像は、待ち合わせ場所としても有名な渋谷駅のシンボル。ということで、プリンのパッケージにも「渋谷名物」とありますが、作っているのはなぜか秋田県の「四季菜」という会社。実は「ハチ公」は秋田犬、生まれは秋田県大館市なのです。だから「ハチ公プリン」が秋田で作られても何の不思議もないというか、むしろ物語性が強調されて商品に付加価値を与えます。犬のイラストとともに添えられた「秋田のやさしさとおいしさが渋谷で待ち合わせ」というコピー、なかなか気が利いています。
「四季菜」という会社は洋菓子の専門メーカーではなく、秋田の味を全国に届けるというコンセプトで、秋田名物のきりたんぽ鍋セットや、日本三大地鶏の一つ、秋田の「比内地鶏」の鶏めしご飯の素など多彩な商品を製造販売しています(http://www.akita-shikisai.com)。「ハチ公プリン」も、比内地鶏の卵を使っているところが地元秋田へのこだわりです。
では、いただいてみます。カラメルソースが別添ですから、まずはそのまま味わい、後でソースをかけて2つのおいしさを楽しむのがよいとか。生地は自然な色合い、食感は少し硬め、甘味が抑えられ素材の卵の風味が生きている素朴なおいしさです(12個入・2100円)。もう少しトロリンとした感じのプリンがお好みの方には、瓶入りの高級タイプ、6個入・2310円の「ハチ公プレミアムプリン」がおすすめかもしれません。消費期限が6日と短いですが、フレッシュなおいしさが堪能できます。
ところで、渋谷駅のハチ公像は今から75年も前、1934年の創建ですが、戦時中の金属不足で供出されてしまったため、現在のものは1948年に再建された2代目だそうです。最近、渋谷を通りかかった折に訪ねてみましたが相変わらずの人気者(写真)。「あれ、駅のほうを向いていたっけ?」と不思議に感じ、調べてみたところ、1989年に設置場所と向きが変わったとのこと。迎えに来るのだから、やはり駅のほうを向いていたほうが良いというわけでしょうか。それにしてもハチ公像を見るのって、20年ぶり?

【2009年】