ちょっとぜいたくなカステラをご紹介しましょう。カステラの製造で決定的に重要なのは卵といわれますが、この商品は烏骨鶏の卵を使ったものです。
烏骨鶏は、中国では古くから薬膳料理や漢方薬の材料に使われてきましたが、ニワトリの中でも繁殖力が弱く、貴重な食材として王侯貴族のみに食されていました。その卵は1羽が年に40個程度しか生まないという貴重なもので、卵黄は、お箸でつまんでも崩れないほどしっかりとして味が濃く、アミノ酸やミネラル、DHA、EPAなどを豊富に含み、滋養にあふれているといわれます。金澤鳥鶏庵が自社農場の竹林で丹念に育てた烏骨鶏の卵で作ったこの「烏骨鶏かすていら」、じっくりと味わってみたいものです。なお、他にどら焼きやプリン、バームクーヘンなどの洋菓子も製造販売しているそうです。

カステラは、室町時代後期に製法が伝えられ、日本で独自に発展したお菓子です。日本で発達した理由は、牛乳を使わずに作れるからだと思われます。英語のウィキペディアで「Castella」を見ると「ポピュラー・ジャパニーズ・スポンジ・ケーキ」と説明されています。
また「かすていら」という表記は、江戸時代、1712年頃の文献『和漢三才図会』に「加須底羅」とあり、当時はそう発音されたのでしょう。意味は「カスティーリャの食べ物」という説が有力。カスティーリャとは中世にイベリア半島のポルトガル以外、つまり現在でいうスペインの大部分を支配していた王国です。新大陸への冒険をしたコロンブスを送り出したのはカスティーリャ国王イザベルでした。

【2008年】