新しい京橋に注目
2017年1月某日、久しぶりに地下鉄銀座線京橋駅の明治屋口を利用。「あれ、ホームの階段の位置が違う」と戸惑い、改札を出て更に驚く。以前は改札前の階段を上り、マイジャムなどで知られる食品販売業の老舗明治屋の本社ビル(明治屋京橋ビル)の脇から地上に出たのだが、今では改札前は広々とした通路になり地下飲食店街に直結していた。しばらく工事用のフェンスで囲まれていた一帯が地上32階・高さ170mの超高層ビルに生まれ変わり、「京橋エドグラン」の名で2016年11月にオープンしていたのであった。
この新しいビルの特徴の1つは、昭和8年(1933)竣工の歴史的建築物、明治屋京橋ビルをうまく取り込んでいることだろう。新しいビルの低層棟を明治屋ビルと左右対称に配置し、明治屋ビルと一緒に超高層棟を支えているかのようで、正面からは大きなゲートのようにも見えて印象的(写真上)。新旧の建築物のバランスとコントラストも面白い。2つの通りを結ぶ中央通路をはじめ、随所に確保されたオープンスペースには、こうした場所では珍しいファブリックのソファをはじめ、様々なデザインのベンチが配置されているが(写真右中)、おそろしく太っ腹なスペースの使い方で、メンテナンスも大変だろうと余計な心配をしてしまう。
先に触れた地下飲食店街も新鮮な印象。何しろ改札を出て、遮るドアなど一つもなく自然にエリアに入ってしまう(写真下)。もはやビル内の飲食店ではなく、駅前の飲食店街に近い感覚。地上に出るには否が応でも通行することになり、おのずと店に目が留まる。カレーやラーメン、餃子、蕎麦、カウンター寿司、郷土料理、昔懐かしい洋食、焼肉、イタリアン、エスニックなど、なじみやすいメニューが個性豊かな店づくりで提供されており、普段使いできそうで好感度高し。特に魅力なのは、平日だけでなく土日もリーズナブルなランチメニューが提供される点だ。日本橋、銀座、東京駅などの有名商業施設を楽しみ、食事は人混みを避け中間地点の京橋でゆったり。明治屋ストアーの独特の品揃えも改めて堪能できる。じわっと人気が高まりそうな予感。
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