歴史ある洋館でゆったりランチ
桜田門の斜向かい、法務省旧本館赤れんが棟に隣接し、内堀通りに面して、白いタイル張りの瀟洒な建物が建つ。教会のような2つのとがった屋根がしゃれている(写真左)。昭和11年(1936)竣工というからもう築70数年になるのに、さほどの古さは感じられない。法務省旧本館は明治の建物なので比較にならないが、同時代の昭和7年に竣工した旧文部省の重々しい印象とはえらい違いだ。当時はこの霞ヶ関官庁街の中で、「白亜の洋館」として異彩を放っていたことだろう。
建物の名は「法曹会館」。法律や司法事務の研究・出版などを行っている(財)法曹会が運営する会館で、各種集会や宴会、婚礼などに使われている。名前からしてとっつきにくいが案外気軽に出入りでき、昼は食堂のランチ営業(平日のみ)を、近隣の官公庁の方などがよく利用している。
ちょっと優雅に食べたいなら1階の食堂がよい。場所が分かりにくいが、正面入口を入って左側奥の「孔雀の間」がそれ(写真中)。もともとは宴会場として設計された天井の高いゆったりしたスペースが食堂になっているのだ。メニューは和食から洋食、中華と実に多彩。日替わりメニューもある。値段は700円から2000円くらいまで。中でも毎日内容が変わる「洋食Bランチ」は、魚料理と肉料理の組み合わせにサラダとデミタスコーヒーがついて1150円とお得感あり。この日は魚のフライと豚肉生姜焼で、典型的な日本的洋食という感じ。味付けはやや濃いめかも(写真右)。
昭和初期の建物らしい、よりレトロな感覚を楽しみたいなら地下1階の「マロニエ」がおすすめだ(写真左下)。厨房は1階と共通でこちらも和食、洋食、中華が揃うが、メニューは若干違って800円前後が中心と、さらにリーズナブル。肉料理・魚料理・サラダをワンプレートに盛り付けた「ランチョン」800円(コーヒー無し)が、昭和の「おしゃれ懐かしい」雰囲気にぴったり。どこからか、激動の昭和を生きた国家公務員や法曹関係者の語り合う声が聞こえてきそうな店である。
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