レトロな麻布十番で
讃岐うどん
地下鉄南北線麻布十番駅。普段なら4番出口から賑やかな商店街のほうに出るのだが、この日2012年6月24日は、2番出口から橋を渡って裏通りへ抜けてみた。この界隈は三田一丁目で静かな住宅地が残っており、少し歩くと、時代の流れから取り残されたような一画に出る。年季の入った門の右に「讃岐会館」、左には「東京さぬき倶楽部」のプレートが見える。
ここは昭和47年(1972)、香川県によって建てられたホテルである。誰でも宿泊することができ、香川県在住の方は優待料金が適用されるらしい。以前は県庁生協が経営していたが、2003年に香川県高松市にある温泉旅館に引き継がれ、名称が讃岐会館から東京さぬき倶楽部に変わって現在に至るという。
建物の中に一歩足を踏み入れると、なかなかのレトロ感。建築当初は斬新で高級感のあるインテリアであったろうと推察され、時を刻んで独特の味わいが生まれている。2階にランチタイム営業をしているレストランがあるので入ってみた。ポピュラーな定食もメニューに載っているが、売りは瀬戸内の味を楽しめる和風膳と名物の讃岐うどんであろうか。冷たいぶっかけ讃岐うどん600円也を注文。さすが噛みごたえのある、コシの強い頑固なうどんである。スダチを絞った出汁もさわやかで良い。プラス250円でミニちらしが付くというので、あわせていただく(写真上右)。
食後は庭を探検。古い木造の離れを活用した隠れ家のような飲食施設は風情がある(写真下左)。さらに奥に進むと、狛犬が睨みをきかす怪しげなスポットを発見(写真下右)。石碑には「御田八幡宮旧跡」とあり、今は都営地下鉄泉岳寺駅近くにある御田八幡神社が、最初はここにあった、といったことが記されている。ちょっと怖くて懐かしい雰囲気がたまらない。御多分に漏れず再開発の動きがあるようだが、このたたずまい、残しておいてほしいなあ、と切に思うのである。
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