ランチも
ビー・アンビシャス?
地下鉄神保町駅と竹橋駅のちょうど中間あたりの白山通り沿いに、昭和初期、旧文部省などが建てられた時代に流行したスクラッチタイル張りのレトロな外観が目を引く建物がある。学士会館という。今でこそ誰でも利用できる施設だが、もとは畏れ多くも旧帝国大学(東京、北海道、東北、名古屋、京都、大阪、九州の7大学)の卒業生や教員の親睦会である「学士会」の会員専用施設。現在の建物は昭和3年(1928)竣工のもので、その後、昭和12年(1937)に新館が増築されたため少し外壁の色の異なる建物が合体したような形になっている。そのため南側(写真左上)と北側(同左中)では表情がだいぶ違うが、やはりコーナーにアールがかかった南側旧館の外観のほうが優美に感じられる。
建物の周囲をぐるりと回ると、いくつかのモニュメントが興味を引く。「東京大学発祥の地」の碑、「日本野球発祥の地」の碑、そして2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」のおかげで最近ちょっと注目されている同志社大学創立者「新島襄」の生誕の地の碑もある(写真上右)。
一歩建物に入ると、歴史を刻んだ風格のあるインテリアが、過去にタイムスリップしたような錯覚をもたらす。訪ねたのは雛祭りも近い2013年2月某日、あでやかな雛飾りが、ともすれば重くなりがちなロビーの空気にアクセントを与え、気持ちが華やぐ。
いくつかのレストランが営業していて、ランチタイムにはリーズナブルなメニューに出会える。クラシックな雰囲気のフランス料理「ラタン」も魅力だが、ふらっと気軽に入るなら、ノスタルジックなカフェ&バー「セブンズハウス」が落ち着く。「ボーイズ・ビー・アンビシャス」の名言で知られる札幌農学校(北海道大学の前身)の初代教頭の名を冠した「クラークカレー」(コーヒー付1200円)が面白い(写真下右)。ステーキ風の牛肉と彩り豊かな温野菜、雑穀をブレンドしたライスがワンプレートに盛られ、ルーが別に付く。カレーにしなくても十分おいしく食べられそう。なにゆえクラーク博士の名かは定かではなかったが、心地よいひと時に感謝である。
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