サラリーマン街の異空間
JR新橋駅のすぐそば、港区立桜田公園に港区生涯学習センター「ばるーん」という施設がある。地域のサークル活動や企業・団体の集会等の会場に使われているのだが、かつて港区立桜田小学校の校舎だった5階建ての建物が、あまり手を加えずに活用されている。当時の備品がそのまま残る教室、教職員室のような事務室、子供たちの背丈に合わせたシンクの低い手洗い場など、目の前に次々と現れる光景が小学校だった頃の活気を想像させて興味深い。最もインパクトが強いのは、ベランダから観た都会のパノラマだ(写真中)。3Dゲームのようにさまざまな建物が折り重なるように迫って見え、さほど高所でもないのに目がクラクラする。新橋界隈の小学生たちは毎日こんな世界を当たり前のように眺めて過ごしていたのかと、田舎の木造校舎育ちの人間は不思議な感慨に浸るのであった。
さて、この建物の1階角に、カフェ・ドゥーという名の店がある。みなと障がい者福祉事業団というNPO法人が、障がいのある人の働く場の確保と、一般企業への就職に向けた職業訓練の場としての活用を目的に運営しているもので、2012年9月現在、カレーライス、そば・うどんを中心とした軽食、焼きたてパン、ソフトドリンクなどを提供している。写真は600円のキーマカレー。食事をすると250円のアイスコーヒーが150円でつけられる。雰囲気は懐かしい学生食堂といった感じで、サラリーマンの街のイメージとは、ちょっと違った時間と空気に包まれている。忙しい仕事の合間にこんな場所にふらり立ち寄ってみると、よい気分転換になるかもしれない。
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