病院でランチ
慈恵医大、正式には東京慈恵会医科大学といい、附属病院は港区の代表的な病院の一つといえる。その歩みは明治14年(1881)、海軍から派遣され英国の医学校で学んだ高木兼寛によって現在の銀座4丁目に設立された成医会講習所に始まり、わが国初の私立の医学校だそうである。翌明治15年には有志共立東京病院を設立、同16年には西新橋3丁目の現在地に移り、後に成医会講習所も移転してきて、今日の基礎が築かれた。名称からも推察できるように、慈善的な性格の医療機関としてスタートし、皇室や海軍の支援の下に発展してきたが、大正12年(1923)の関東大震災で多くの施設を焼失した。
そこからの復興過程で建設された建物が今も残っている。まず端正な美しさに引かれるのが2号館F棟(写真上)。昭和5年(1930)に東京慈恵会医院として建てられ、現在は大学の研究棟として使われている。もう1つは昭和8年(1933)竣工の、現役の大学本館(写真2段目)。さすがに少しくたびれてはいるものの、スクラッチタイル張りの外観に風格が漂う。ほぼ同じ時代の建築ながら、全く印象の違う2つの建物のコントラストが面白い。
そして、この歴史的建築物の間には2000年に開業した21階建ての中央棟(入院棟=写真3段目)がそびえる。たまたま入院することになった知人によれば、東京タワーを目の前に望む、大変見晴らしの良い部屋だったとか。その眺望は、8階にあるパレスホテル直営のレストラン「パティオ」を訪れても実感できる(写真下)。もちろん一般の来訪者も利用でき、土曜日曜もランチ営業をしているのが有難い。2012年2月3週の日替わりランチはチキン、ポーク、ハンバーグのバリエーションで1100円~1200円(写真3段目右、コーヒーまたは紅茶付)。他にステーキランチ1800円もあった。料理に添えられたソースが気が利いていて、クオリティはなかなか。すぐ近くの愛宕神社に健康を祈願したあと、病院でランチって、どう?
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