2つめの共同アンテナショップ
2014年9月28日、鳥取県・岡山県の共同アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」が新橋駅の銀座口側、徒歩1分のところにオープンした。岡山県は、中四国9県の中で唯一都内にアンテナショップを持っていなかった県。一方の鳥取県は、新橋で2008年から6年間アンテナショップを営業してきた実績があり、新たな展開を検討していたらしい。隣接する両県が協力して、相乗効果の上がる運営をしようと考えるに至った経緯は十分に理解できる。その背景には、道を隔てた向かい側にある香川県・愛媛県の共同アンテナショップ「せとうち旬彩館」が2003年の開店以来11年間、健闘を続けていることもあったに違いない。
それぞれの県の出身者にとっては「ふるさとの店」として独立していたほうが良いだろうが、その他大勢の他県出身者は、多くの場合、県境など意識せず、漠然とそのエリアをイメージしている。観光客誘致も、県対県というよりエリア対エリア、あるいはルート対ルートの競争であろう。そこにも、隣接する2つの県が共同でアンテナショップを運営する意義が見出せそうである。
新しくできた「とっとり・おかやま新橋館」は、空間的にゆとりがあり、明るくきれいにまとまって快適。飲食施設もモダンでカジュアル、メニューもなかなかしゃれている。だが個人的には、少しごちゃごちゃしていて、市場(いちば)感やローカル色が強いほうが好みだ。2つの県が一体化しすぎて、それぞれの特徴がわかりにくくなっているのも気になる。中国山地を隔てて瀬戸内海側と日本海側にある両県のコラボレーションなら、瀬戸内海の恵みを共有する香川・愛媛とは違って当然。1つの店に2つの表情、「峠を超えたら違う世界があった」的な演出ができていれば、もっと楽しく店内を回遊できるのになあ、と残念に思うのだった。
ともあれ、新橋駅界隈を少し歩くだけで、愛媛から鳥取までの中四国4県縦断の旅気分が味わえるようになったのは嬉しい。「地方創生」が叫ばれる今、各アンテナショップにはぜひ頑張って、地域の魅力を発信してほしいものである。
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