ふるさとは都心にあり
7月1日から8月31日まで、「ふるさとアンテナショップめぐり」というキャンペーンが行われていた。パンフレットを持って都内にある全国の道府県のアンテナショップを利用すると、さまざまな特典が得られる。鉄道会社10社の共同企画で行われ、2008年で5回目ということである。
ここでいう「アンテナショップ」とは、早い話が特産品の販売店のことである。飲食店を併設したり、観光案内をしたり、企業との商談窓口など道府県の東京事務所を兼ねるものもある。アンテナショップは企業が新製品や新業態をテストし、市場の反応を調査するために設ける店というのが私の古い理解で、道府県のものをそう呼ぶのは個人的には抵抗があるが、まあ良しとしよう。
さて、このキャンペーンには33道府県の34店が参加している。最も集中する有楽町・銀座界隈を中心に、家賃も高いだろうに、よくこれだけあるものだと驚かされる。しかも、こうした繁華街指向は一段と強まっているのだ。
当社の周辺では、地下鉄虎ノ門駅近くの山形県の店が8月16日に閉店、2009年春に銀座1丁目に再出店するそうだ。まさに「官庁街・ビジネス街」から「繁華街」への戦略転換である。
一方、8月29日には鳥取県の「食のみやこ鳥取プラザ」が新橋にオープン、そのセレモニーには「ゲゲゲの鬼太郎」と作者である水木しげるも応援に駆けつけ、大賑わいを見せた。そうか、鳥取県(境港市)は水木しげるの出身地であり、「妖怪」を売り物にした町おこしが成功しているのだった。「石見銀山」の世界遺産登録で意気上がるお隣の島根県は、すでに2003年から日本橋三越の真向かいに、なかなか立派な店を出している。その対抗意識からというわけでもなかろうが、鳥取県の店も2階にイタリアンレストランを併設した本格的な店づくりである。目と鼻の先には、香川県・愛媛県が共同で出店する「せとうち旬彩館」もあり、こうした店が増えることで集客の相乗効果も生まれ、面白いスポットになりそうである。
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