繁華街の生涯学習センター
JR新橋駅の烏森口からすぐ。繁華街のビルに囲まれるようにして、「港区生涯学習センター」という施設がある。
特に老朽化しているわけでもない、しっかりした鉄筋コンクリートの建物が建っているが、どこか妙なたたずまいだと思ってよく見ると、以前は学校だったことがわかる。舗装された校庭が広がり「桜田公園」として開放されている。その片隅には喫煙所が設けられて、最近はどこでも肩身が狭い愛煙家の束の間のオアシスになっていたりする。
ここにあった港区立桜田小学校は、児童数の減少に伴い、近隣の5つの小学校の統廃合により平成3年(1991)3月に廃校となって、明治10年(1877)の創立以来114年の歴史の幕を閉じた。敷地内には、先の大戦中の「桜田国民学校」という文字の刻まれた石碑も残っている。
平成19年度の東京都公立学校統計調査によると、この10年で東京都の公立小学校の数は73校減り、1323校になった。依然として減少傾向が続いている。小学校が生涯学習センターになるというのは、いかにも少子高齢化の時代の象徴のような気がした。
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