近未来的な都市公園の風景
JR品川駅港南口から北へ徒歩6〜7分のところに、芝浦中央公園という港区の公園がある。路面からは見えない“高台”にあって利用しにくい公園だったが、2017年3月某日、久しぶりに訪ねて、その変わりように驚かされた。
開園は昭和55年(1980)だが、いま注目されているのは、2015年春に面積が1.5倍ほどになるような拡張が行われ、同時に開業した高層ビル「品川シーズンテラス」の緑地部分と一体に整備されて、ビルの利用者が簡単にアクセスできるようになったことによる。ビル内を通り抜けて「広場」に出た時の開放感は、ちょっとしたサプライズだ。東京タワーやレインボーブリッジも望める眺めの良さは格別で、人気を博した恋愛ドラマのロケ地として使われたことでも話題を呼んでいる。
その眺めの良さは、何と言っても高いところにあり、周辺に視界をさえぎる建物が少ないことからくるものだ。実はこの公園、東京都下水道局が管理する芝浦水再生センターの巨大なプラントの一部にコンクリートでふたをし、その上に作られたものである。ちなみに品川シーズンテラスは、水再生センターから出る排熱を空調に、再生水をトイレの洗浄水に利用するなどの環境対策も講じられているとか。周囲をぐるりと見て回ると、物々しい施設の一端を見ることができ、公園が構造物の上に乗っていることも容易に確認できて興味深い(写真下左)。わずかにいやな匂いもして、汚水の処理施設であることも再認識させられる。
幼いころに想像した未来の大都市というのは、整然と高層ビルが立ち並ぶ無機的なイメージだったが、どうやら現実はそういう方向ではないらしい。土地を開発し緑地を削りながら、一方ではこのように新たな緑地を創造して「環境」をデザインしていくのだ。公園の新しく拡張されたスペースはまだ植栽も若く、いかにも作られた感の強い印象だが、いずれは人工の地盤にも馴染み、落ち着いた佇まいを見せてくれることだろう。東京オリンピックの年、2020年に暫定開業が予定される山手線の新駅からは目と鼻の先というロケーションであり、その頃には、さらに多くの人に利用される公園になっているに違いない。
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