屋上に緑が育つ
東京都公園協会の機関誌に載っていた「東京空中庭園散歩」という記事に興味を覚えた。執筆は明治大学農学部の輿水肇教授。早速、記事を参考に、気軽に行ける「空中庭園」を訪ねてみた。
写真左は有楽町駅近く、東京交通会館の3階に相当する屋上部分である。新幹線がすぐそばを通り過ぎるということで、カメラを抱えた鉄道ファンの姿も目につく。写真右は、日本橋高島屋の屋上に作られた庭園である。咲き誇る花々には、ミツバチも訪れていた。もしかして、かの有名な?「銀ぱちくん」ではなかろうか。
このように建物の屋上に庭園を設ける例は、今後ますます増えていく。というのも、東京都が平成13年(2001)4月以降、屋上等緑化の義務づけを行っているためである。条例では、1,000平米以上の敷地において(公共施設は250平米以上)建築物の新築、増改築等を行う場合、計画の種類により、地上では敷地面積から建築面積を引いた残りの2割または3割、建物についても屋上の面積の2割または3割の緑化が求められている。
この条例による屋上等緑化実績は、平成17年度、18年度、19年度と3年連続で20万平米を超えているそうだ。日比谷公園が約16万平米であるから、毎年、日比谷公園を超える屋上緑地が生まれていることになる。
屋上緑化の大きな目的は、ヒートアイランド現象の緩和である。温度の上昇が抑えられ、ビルの省エネ、CO2削減、地球温暖化の防止につながる。さらに都市景観の向上、やすらぎ効果、動植物など自然のサイクルの維持といった効果もある。今日では、都心部で新しく地上に緑地を確保することは困難になっており、屋上緑化は貴重な「緑の創出」といえる。ビルの屋上に緑の空間が増えることを素直に喜び、楽しみたいと思う。
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