変わる御茶ノ水駅聖橋口
2013年5月某日、降り立ったJR御茶ノ水駅聖橋口前には、23階建てビルを中心とした「ソラシティ」という名の複合施設ができていた(写真中左・下)。さらにその南側にはツインタワーを持つ「ワテラス」(写真中右)という施設が4月12日に同時開業、2つの施設は背中合わせに跨道橋で結ばれ、1つの施設のようにスムーズに行き来することができるようになっている。「ワテラス」の正面広場に出ると、地下鉄淡路町駅も近い。
さて、「ソラシティ」は日立本社ビルがあった場所、「ワテラス」は千代田区立淡路小学校の跡地というが、かつてどんな街並みだったのか、とんと記憶がない。
御茶ノ水といえば、個人的には学生の街というイメージだが、今回新しくできた大型施設は、なかなか面白い飲食店舗が入っているものの、建物の印象は総じて無機質で遊びが少なく、大手町ビジネス文化圏の影響が色濃く出ていて、学生街の空気は感じられない。独特のアーチ形が美しい聖橋(写真上)は、神田川を挟んで北側の湯島聖堂と南側のニコライ堂という歴史的価値のある2つの聖堂を結んでいることにちなむ命名なのだが、そうした雰囲気にマッチしているとも言い難い。
「御茶ノ水渓谷」にへばりつくように作られたJR御茶ノ水駅の景観は、都心でありながらも何処かのどかで、ささやかな安らぎを与えてくれる。聖橋口を中心とした駅舎の改築工事も計画されているそうだが、便利になる、耐震性が上がる、バリアフリー対応が進むといった機能面だけでなく、ぜひ御茶ノ水らしい情緒面にも配慮した再開発を目指してほしいものである。
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