お寺で過ごす昼休み
2014年6月11日、都内で2番目の高さの超高層ビル「虎ノ門ヒルズ」がオープン、周辺エリアではさらに開発が進み、大きく姿を変えようとしている。街が近代的に整備されていくのは別に悪いことではないのだが、なんとなく明るく乾燥した砂漠地帯がどんどん広がっていくような感じだ。それに反比例するかのように、しっとりと落ち着ける、オアシスのような場所に逃れたいという飢餓感にも似た気持ちが増幅してくることはないだろうか。ランチくらいはビルを出て公園などで楽しみたいと思うのも、その1つの表れかもしれない。
公園ではないが、虎ノ門ヒルズから徒歩7、8分、メトロ日比谷線神谷町駅から1分、神谷町交差点のそばにある「光明寺」も、そうした思いを持った方々に親しまれているスポットだ。13世紀、鎌倉時代の創建という浄土真宗本願寺派の寺だが、歴史を感じさせるような門構えはなく、戦後20年近く境内に幼稚園があったことを伝える、やさしい笑顔の石碑が迎えてくれる(写真左)。その本堂2階にあるテラスにテーブルと椅子が用意され、お昼時、近所にお勤めの方々が弁当やお茶を持参して、ひと時くつろいでいくのである(写真中)。このスペースは「神谷町オープンテラス」と名付けられ、予約制で週2回、お坊さんによる茶菓のおもてなしもあるとか。屋根があるので、梅雨時も多少の雨なら平気。眼下に広がる墓地、緑の木々の先にはオランダ大使館の大使公邸や東京タワーの一部を眺めることができるなど、景色も面白い。貴重な都心のオアシスとして、ぜひいつまでも残ってほしいものである。
CONTENTS