バスで観て
歩いて愛でる桜かな
2012年4月6日、東京の桜が満開になった。今年は遅いと言われていたが平年とさほど変わらないらしい。だいたいこのくらいのほうが、入学式を迎える方などには嬉しいに違いない。
昨年は大震災の直後でお花見が自粛ムード一辺倒だったが、今年も極端な浮かれムードはないようである。さてどんな花見にしようかと迷っていると、テレビで東京スカイツリーと隅田公園の桜を水上バスから眺めるのが人気というニュースが報じられていた。だがもう予約で一杯らしい。それならということで“陸上バス”に方針転換。あの「はとバス」に「東京さくら回廊」というお手軽な企画があるので調べたら、何とこちらも日中はほとんど満席で、やっと取れたのが週末の朝一番、8時の便。乗り場は東京駅丸の内南口(写真上)。復元中の赤レンガの東京駅はだいぶ姿を現していて、はとバスのターミナルもそれらしい雰囲気のデザインになっているのが面白い。
この東京さくら回廊、屋根のない2階建オープンバスで平川門、田安門、靖国神社、半蔵門、北桔橋門などを巡り、皇居の周りを約4分の3周して戻ってくるガイド付き1500円のコース。いつもは下から見上げる桜を真横に見る感覚はなかなか新鮮(写真中)。日ごろサファリパークの動物のように観光バスの客から見下ろされて不愉快に感じている身が、逆に見下ろす立場に代わって気分も良い。しかし飲食も不可、ただ通り過ぎるだけの正味40分ほどの桜見物はやや物足りず、逆に禁断症状が出てきてしまう。そこでバスを降りた後は、いま見てきた皇居周りの桜並木をどこか1カ所でも歩いて症状の緩和を図りたい。何といってもオススメは千鳥ヶ淵。毎度大混雑だが、やはり一見の価値のある見事な風景が広がる(写真下)。半蔵門付近では、菜の花との競演も見られた。好天にも恵まれ、良い花見であった。めでたし、めでたし。
CONTENTS