六本木で出会う
「花子とアン」
2014年度上期のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」が好調ということで、主人公のモデルで「赤毛のアン」シリーズの翻訳者である村岡花子にスポットが当たっている。その村岡が10歳から20歳(1903~1913)まで学んだ東洋英和女学校、現在の東洋英和女学院は明治17年(1884)創立のキリスト教系の学校で、メトロ六本木駅と麻布十番駅のちょうど中間あたりにある。斜向かいには旧岩崎邸の国際文化会館もあり、あまり開発が進んでいない閑静な場所である。
現在の校舎は2003年の建築だそうだが、レトロモダンなイメージが漂うのは、日本に帰化したアメリカ人の宣教師であり建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計し昭和8年(1933)に竣工した旧校舎のデザインを踏襲しているためらしい。資料にはスパニッシュ・ミッション・スタイルの建築とあるものの、同時期にヴォーリズが手がけた「山の上ホテル」(1937竣工)と同様、アールデコの影響があるように見える。一部の開口部が単なる飾りになってしまっているのが残念だが(写真右上)、入口ドアの凝ったデザインはそのまま残され、味わいのある雰囲気を醸し出している(中左)。
中学校・高等学校棟(上左)には立ち入れないが、本部・大学院棟(中右)はその素敵なドアから中に入ることができ、2014年7月現在、ロビーにある学院史料コーナーで「村岡花子と東洋英和 Ⅱ」という企画展示を一般公開している(写真下)。同校の広報誌に寄稿した作品など、あまり他の展示会には出品されそうもない珍しい品もあるので、マニアックなファンの方にはおすすめかもしれない(2014年9月まで開催予定、日曜祝日とお盆の時期は休館)。
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