アークヒルズの庭を歩く
赤坂(A)と六本木(R)のつなぎ目(Knot)ということでARK。古くからの住宅密集地を再開発して1986年4月にオープンしたアークヒルズは、今年2010年、25回目の春を迎えた。もう四半世紀かと思う。当初はどの地下鉄の駅からも遠く、ずいぶん不便な場所にある印象だったが、1997年に地下鉄南北線が溜池山王駅まで開通、2000年には全線開通して六本木一丁目駅ができ、格段に便利になった。
4月17日、そのアークヒルズの「庭」に注目して訪ねてみた。早朝、都心では41年ぶりという遅い雪が舞ったものの、昼頃には青空も広がり人出も増えてきた。ここには1997年に整備されたテーマの異なる7つの庭があり、総称してアークガーデンと呼んでいる。そのうちサントリーホールの屋上部分にあたる「ルーフガーデン」と「ローズガーデン」(写真上・中)は、野鳥などを保護するという趣旨で通常は立ち入りができず、年2回、春と秋に特別公開される。この日はその公開日だったのだ。建物などの人工物は時とともに劣化していくのが定めだが、逆に緑は成長し輝きを増す。施設を取り巻くように植えられた桜が大きく枝を張り、この春も見事な花を咲かせたように、屋上庭園も豊かな緑をたたえていた。庭園の下にある立派なコンサートホールの姿を想像するのもまた楽し、であった。
都市に貴重な緑を提供し、温暖化防止にも貢献するビルの屋上緑化は、法的な規制もあって最近は珍しいものではなくなり、立派な屋上庭園も増えている。その中で、このアークガーデンがユニークなのは、単に業者が管理するにとどまらず、専任ガーデナーの指導のもとに「ヒルズガーデニングクラブ」を組織し(六本木ヒルズと合同)市民参加による“緑の街づくり”を推進していることだろう。「メインガーデン」や「コンテナガーデン」では、メンバーの手で育てられた色とりどりの花が咲き競っていた。
また施設内のカラヤン広場では、毎週土曜日、旬の野菜や専門店の食品などを販売する「ヒルズマルシェ」が開催されているが、この日は、ガーデニング雑貨や花苗、切花なども豊富に並び、ひときわ春らしい賑わいを演出していた(写真下)。
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