川から見つめる都会
都心の川をボートで巡るミニツアーがあると聞いた。日頃、いくつもの橋をわたっているのに、下を流れている川の存在などほとんど意識したことがない。その企画に痛く興味をひかれて参加してみた。
今年2008年7月にスタートしたもので、「都心の水辺でサンデーエコツアー」という。千代田区との協働事業として、NPO法人の「あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」が運営している。名前のとおり日曜日に実施しており、神田川に架かる秋葉原の和泉橋と、日本橋川に架かる九段下近くの宝田橋(ちょうど千代田区役所の裏手にある)を結ぶ約40分のコースである。
どちら回りでもよいのだが、私は秋葉原から乗った。乗船場は、東京都建設局が大地震等の災害に備えて整備している防災船着場だ。船は環境にやさしい電気モーターで走る。静かで振動も少ない。船長兼ガイドさんの解説に耳を傾けながら、万世橋をくぐり、御茶ノ水の聖橋を仰ぎ見る(写真上)。川から見上げる橋の姿はなかなか新鮮。本郷台地を掘り割って川を通したためにできた通称「御茶ノ水渓谷」の眺めも美しい(写真中)。
神田川の水源は三鷹市にある井の頭池だが、このあたりは水量の9割が下水を浄化処理した水という。水質は最近かなり改善され、透明度も通常は2メートル程度あるそうだ。
水道橋を過ぎて間もなく日本橋川に入ると、風景が一変する(写真下左)。頭上すなわち川の上を首都高速がすっぽりと覆っているため薄暗く、川というよりは排水路といった様相である。やはり川には降り注ぐ日の光が欲しいなあ、などと考えているうちに終点の宝田橋に到着。料金は大人1,500円。高いか安いかはその人の価値観次第だろう。このNPO法人では、他の水辺ルートを巡るツアーも実施している(www.enjoy-eco.or.jp)。
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