指定喫煙場所のある風景
2014年7月1日、わが港区で喫煙のルールに関する新しい条例が施行された。そこには、屋外の公共の場所での喫煙の禁止、吸い殻のポイ捨て禁止、さらに私有地で喫煙する場合も周囲の公共の場所にいる人にタバコの煙を吸わせることがないよう配慮する、といった内容が盛り込まれている。近頃は禁煙の事業所が増えたことで、外に出て路上喫煙する姿が目立つようになっているが、そうした場合も条例違反になることがあるわけだ。
日本たばこ産業の調査(2013年)によると、成人男性の喫煙率は減少傾向が続いて32.2%、女性は横ばいで10.5%。決して少ない数字とはいえないが、振り返れば2002年、男性の喫煙率が50%を切って少数派になったのが愛煙家の受難の始まりではなかったか。受動喫煙での健康被害に配慮するのは理解できるとしても、タバコを購入することでそれなりの税金を払っているのに、あちこちから締め出される一方の最近の扱いはあんまりではないか、と言いたくもなろう。
そこで区としても、例外的に屋外での喫煙を認める「指定喫煙場所」の整備を進めている。区のホームページには21か所がリストアップされており(2014年7月1日現在)、会社の周辺を歩いてみると、新橋-虎ノ門間に5か所が確認できる。まず新橋駅のSL広場口に2か所(写真左)、そのすぐ近くの桜田公園(右上)、西新橋2丁目にある南桜公園(右中)、および虎ノ門1丁目の空地(右下)である。公共の場所での喫煙を禁止しながら、公共性の高いところに指定喫煙場所を設けなければならないのが苦しい。デザイン面に多少の努力の跡はみられるものの、どこかペナルティーボックスのようで、じっと立ったままタバコをくゆらせる愛煙家の皆さんも気の毒にみえる。「タバコを吸うことはカッコイイものではない」というイメージを形成して喫煙率を下げようという目論見なら、それはそれで、一定の効果がありそうとは思うのだが。
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