隅田川の新しい橋
2014年5月8日、隅田川の河口に新しい橋が架かり、アーチ形の優美な姿を見せている(写真上)。場所は築地市場の南端と対岸の勝どき5丁目を結ぶところ。今まで最も河口に近かった勝鬨橋から500mほど下流で、これにより長い間隅田川第一橋梁であった勝鬨橋は、その地位を新しい橋に譲ることになる。
といっても、長さ120m、幅48メートルの大きな橋桁が取り付けられただけで、完成したわけではない。そもそもこの橋は、最近注目されている「環状2号線」の一部を構成するもので、連結される道路の工事が道半ばなのだ。2016年度中の開通が予定されているものの、ルート上にはまだ取り壊しの必要な建物が残り、中でも移転が計画されている築地市場の一部を通過することから、さらに開通が遅れることも予想される。
環状2号線といえば、古くは「マッカーサー通り」、現在は「新虎通り」という名称がつけられた新橋・虎ノ門間が3月29日に開通、今まで奥まったところにあったビルや店舗がいきなり目抜き通りに出現し、「ここはどこ?」と戸惑うくらいに風景を一変させている(写真中右・下)。この「新虎通り」のシンボル的な建築物で、都内で2番目に高い超高層ビルとなる「虎ノ門ヒルズ」も、6月には開業する。周辺では、ビルの建て替えやエリアの再開発にますます拍車がかかっているように見える。
この環状2号線、隅田川の新しい橋を含め、残る晴海・汐留間の工事が終了すると、すでに数年前に完成している豊洲大橋も供用されて、豊洲にできる新市場、さらに2020年東京オリンピックの晴海の選手村や有明の競技会場などと都心を結ぶ大動脈となる。臨海部の開発も一層促進されることだろう。その一方で、東京にばかりこんなに大規模工事が集中して、地方はどうなのか、被災地の復興は大丈夫かという懸念がふくらんでいることも確かである。
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