プロメテウスの遷座
西新橋からプロメテウスが去ってしまった。
新橋駅から外堀通りを霞が関ビルに向かって歩くと、西新橋交差点の右側に、交差点と向き合うように立っていたのがプロメテウス像で、西新橋のランドマーク的存在であった。
ここは最近まで新日本石油の本社ビルで、像は同社100周年を記念して、1988年に立てられたという。彫刻家・富永直樹氏の作品である。プロメテウスは、ギリシャ神話において、人間に火を与えた神であり、エネルギーの安定供給を願っての選択であるという。
ところが、新日本石油は2010年4月1日、新日鉱ホールディングスと経営統合し、7月1日にJX日鉱日石エネルギーを発足させた。今後、日鉱のガス・ステーションは「JOMO」から新日石のブランド「ENEOS」に変わる。そして新会社の本社が大手町にあるため、プロメテウス様も会社と一緒に移転されたのである。新会社が入っている大手町の新日鉄ビルに行ってみたところ、しっかりと立っておられました(写真下)。
さて、会社と神の去った新日石本社ビルだが、これからどうなるのだろう。場所としては優良であり、地上9階・地下4階の延べ床面積は5万平方メートル以上。ある不動産アナリストは550~650億の価値と見積もる。ただし築年数が47年と比較的古いため、再開発が必要かと言われている。新たな西新橋のランドマークができるのだろうか。
CONTENTS