「聖地」に合掌
2020年東京オリンピックが決まったこととは直接関係がないだろうが、2013年も年の瀬を迎え、都心の建設工事に一段と拍車がかかったように見える。
さて2020年東京オリンピックといえば、メイン会場となる「国立霞ヶ丘陸上競技場」いわゆる「国立競技場」が、建て替えのため2014年7月から解体工事に入る。陸上競技やサッカー、ラグビーなどに情熱を傾けてきた人、あるいは現在競技を続けている人にとってはまさに「聖地」で、それがなくなってしまうことは思い出や目標の喪失につながり、少なからぬショックであるに違いない。50年前の1964年の東京オリンピックの感動を心に刻んでいる人にとってもまた然りであろう。
その聖地が、あと半年で見納めとなる。サッカー天皇杯、高校サッカーやラグビーの決勝戦の後もAKB48などのライブが予定されるなど、まだまだ訪れる機会のある人も多いだろうが、そうした特別なイベントのない日は、場内にある「秩父宮記念スポーツ博物館」に入館するとスタジアムの一部を見学することができる。というわけで、2013年最後の見学可能日となった12月23日に訪ねてみた。電光掲示板のすぐ脇から見下ろす5万人収容の大スタジアムのパノラマは壮観だが、人影も歓声もなく静かに横たわるその姿は、間もなく訪れる永遠の旅立ちを象徴するかのようでもあった。博物館では「SAYONARA 国立競技場」と題した特別展(写真右)を開催中で、ゴールデンウイークの5月6日が最終営業日とのことであった。
現在の国立競技場は、東京タワー竣工と同じ昭和33年(1958)に完成、同年開催された「アジア競技大会」で国際デビューを果たし、その成功を踏まえて昭和39年(1964)の東京オリンピックを迎えた。生まれ変わる新国立競技場は、2020年東京オリンピックに先立ち、2019年9月に開催されるラグビーワールドカップでの国際デビューが予定されている。
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