歌舞伎座地下は、スイーツとおみやげの園
2013年4月2日、新たな歌舞伎座が開場した。今回の建て替えで初めて地下鉄の駅と直結し、日比谷線東銀座駅の中央改札口を出ればすぐに歌舞伎座地下2階「木挽町広場」である。「何で今までつながってなかったの」と疑問に思うほど目の前だ。
高さ2.7メートルの大提灯が目を引くこの地下2階は、デパート地下並の楽しい場所となった。いずれ「カブ地下」などと呼ばれるだろう、スイーツとおみやげの園である。奥の店舗には、実演販売「いろはきんつば」、天乃屋の歌舞伎揚パウダーがトッピングされた「揚巻ソフトクリーム」、ベーカリーコーナーには「隈取キューブ」はじめ店内で焼いたペストリーが並ぶ。そして広場内には屋台が所狭しと並び、特製のまんじゅう、焼き菓子、飴などが売られている。いちばん人気はフォションの、ゆずと抹茶のクリームが入った「エクレールカブキ」だが、この屋台は開業1週間だけの限定出店とのこと。おみやげも種類がたいへん豊富で、かりんとう類や煎餅類も味やネーミングに工夫がされていて、包装に歌舞伎座の銘が入った特製のものだ。買い物客の長い列ができ、ひとりひとりが実に数多くの点数を購入していた。新たなショッピング名所として注目である。
当初は29階建のタワーとの複合になることに懸念の声もあったが、完成した外観を見ると、タワー部分が晴海通りから少し引っ込んでいるため、別の建物のようにも見え、景観保存の努力を感じさせる。これまで国などの補助を受けたことのない「お客様のもの」である歌舞伎興行に、年50億円を見込むオフィス賃料が貢献する予定である。
124年の歴史がある歌舞伎座の改築は5回目であり、3回目は関東大震災のあと、4回目は戦時中の空襲による焼失からのものだ。今回は老朽化対策のため2008年から計画された改築だが、はからずも新たな震災後の出発となった。木挽町広場は非常時に帰宅困難者を1000人受け入れ可能で、備蓄品も用意されているとのことである。
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