神社で味わう東京イタリアン
東京23区内で一番高い自然の山・愛宕山山頂にある愛宕神社の境内、知る人ぞ知る「出世の石段」を上りきったすぐそばに「東京トラットリア T(てい)」という店がある。和風の木造平屋で、緑濃い周囲の風景にしっくり溶け込んでいる。
2012年10月某日、久しぶりに来てみて「あれ?」。以前はたしか「和食の店」だったはずだが、姿かたちはそのままに、中身は「気軽なイタリアンの店」に変身していた。聞けば1年ほど前にリニューアルしたらしい。ディナーはあまり気軽ではない値段になってしまうが、ランチタイムはパスタをコーヒー付980円で出していて、入りやすくなった印象。和風の内装にイタリアンカラーの椅子席もなかなか趣があるが、この季節なら、オープンエアのテラス席も清々しそうだ。
ランチパスタはトマトソース系、醤油ベースの和風系、クリームソース系の3種類。物珍しさもあって、この日は東京で開発されたブランド豚「トウキョウX」のソーセージとごぼうを具に用い、東京のメーカーの醤油で仕上げた和風メニューを選択。東京産の食材へのこだわりも、この店の特徴である。パスタは和の器に盛られ、食後のコーヒーも湯飲み茶碗という演出も、和食の店のイメージを引き継いでいて面白い。せっかくなので「お箸でパスタ」としよう。香辛料が効いて味付けも強めなので、写真のように東京産の野菜を使ったサラダとパンを一緒にいただくと、ちょうど良いかもしれない(セットで1200円)。
この愛宕山山頂には、ひと時代前の日本家屋で営業する「菜根」という中華料理店もあるが、平日のみのオープン。これに対し「T」は土曜日も開いているので、休日の散歩にも使える。なお「T」という命名は、この店をプロデュースしている高名なソムリエ、Tさんの名に由来するらしい。そういえば、Tさんの経営するワインサロンや「S」というフランス料理店もすぐ近くにある。
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