無料おかきに熱い視線
霞ヶ関3丁目、霞ヶ関ビルの向い側右手の虎ノ門三井ビルに、「日本一おかき処」とうたう播磨屋本店の東京本店がある。
東京の人には馴染みがうすい名前だろう。本店が兵庫県ということに加え、販売が通販と全国12の直営店のみで百貨店への出店もなし、商品も進物形態が中心で小袋のものはなく、小売業への卸を一切していない。東京で店といえば、ここしかないからである。加えてこの店、ビルの入口周りは料亭か何かのように竹林の雰囲気が演出されており、ここで「おかき」を売っているとは思えないたたずまいである。
その東京本店が2009年5月の連休明けに、スターバックスなどと見間違うばかりのカフェ「播磨屋ステーション」に生まれ変わって、連日大勢の人でごった返している。何が注目の的かといえば、コーヒーなどのドリンクと、おかきバーの多彩なおかきが、セルフサービスで無料で楽しめることである(テイクアウトは×)。
以前にも無料カフェはあったが、20席余りの小規模なもの。進物商品が平台に一列に並んでいるだけの売場では、たしか従業員が和装で接客していた。新しい店では、商品と同一だった無料のおかきは専用の小ぶりのものに変わったが、カフェスペースは100席を超える規模になった。そして従業員はカフェ風のユニフォームに変身した。
来店数が増えれば、商品の販売にもつながる。新しくショーケース風になった売場も忙しそうだ。何か1つ買っていこうかとお考えなら、通販では販売していない「スーパーエコパック」1050円がおすすめ(写真下)。主力のおかきがひととおり楽しめる。簡易包装で「エコロジー」、そしてお買得だから「エコノミー」ということか。ちなみに霞ヶ関の「播磨屋ステーション」は、福岡、京都に次いで3店目。2009年中に大阪、東京(銀座)、名古屋にも出店が予定されている。
ところで、厳密な定義はないようだが、「おかき」(かきもち)とはもち米を原料とし焼いて仕上げる米菓のことをいい、その中でも小粒のものを「あられ」と称するようである。これに対し「せんべい」は、日常のご飯で食べられる「うるち米」を加工したもの…であるならスッキリするのだが、「瓦せんべい」のように小麦粉で作るものもある。関西では「せんべい」といえばそちらをさし、米菓のせんべいは「おかき」の一種というとらえ方をされているらしい。関西生まれの「おかき処」播磨屋本店も、米菓のせんべいを品揃えしている。
※残念なお知らせ。2010年8月下旬頃から、同店の「無料おかきバー」のサービスは無くなり有料になった(1袋200円)。2011年3月の東日本大震災以降、「無料カフェ」も終了した。
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