ポンヌフ
新橋駅前ビル1号館1階にある「カフェテラス・ポンヌフ」は、昭和そのままの内装に、昭和の喫茶店の味であるスパゲティ・ナポリタンやハンバーグなどが食べられることで知られる店である。いっぽう、新橋駅の銀座口を出てすぐの交差点の手前にある「ポンヌッフ」は、場所柄利用客のたいへん多い、立ち食い蕎麦・うどんの店だ。どちらの店も、年月の風格を感じさせられる。
これらの店名はフランス語だ。Pont「橋」 Neuf 「新しい」で、つまり「新橋」の直訳である。そして Pont-Neuf は固有名詞でもある。パリのセーヌ川右岸と左岸を結ぶ数多くの橋のひとつであり、1604年に完成した、現存する最も古い橋だ。全長278メートルは、150~180メートルの「隅田川18橋」に比べてかなり長い。「ポンヌフ」は周辺の地名にもなっていて、メトロの「ポンヌフ駅」もある。
「汐留川の上で(2)」で紹介したように、「新橋」は東海道の汐留川上にかかる橋が地名になったものだ。
新橋といいつつも新しくはない、むしろ古く重要な橋であるところが共通している。メトロの駅があるのも同じだ。そうした共通点を思うと、新橋にポンヌフの名を名乗る古くからのお店があるのも理解できるように思う。
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