かつての空港施設は今…
昔から安産の神様として信仰を集め、最近はTVドラマ「新参者」や映画「麒麟の翼」の舞台としても注目されている「水天宮」。そこから少し隅田川方面へ歩いたところに、かつて時代の先端を担った施設がある。「東京シティエアターミナル」(T-CAT)という。
もともと成田空港の建設に合わせて計画されたリムジンバスのターミナルだが、搭乗手続きや出国審査などができる機能を持ち、不便で混雑する成田からのスムーズなフライトに貢献してきた。その昔、諸先輩方の中にも、ここで出国手続きを済ませ、海外に旅立った人が少なからずおられた。当時は、たしか地名を使って「箱崎ターミナル」と言っており、何それ、と聞いて、「箱崎も知らないの?」と時代遅れの烙印を押されたことが記憶に残る。
しかし、時代は変わり、テロ対策の強化などにより出国手続きができなくなって、空港ターミナルとしての役割を終えた。今は、羽田空港と成田空港のリムジンバスが発着するだけのバスターミナルで、首都高速と一体になったような構造のビル内は、おおむね飲食店街になっている。都心にありながらあまり混雑せず落ち着いていて、どこかローカルな雰囲気も漂う。
それでも昼時などは、ビジネスマンや行楽客、ご近所の母子連れなどでにぎわう。和洋中華のいろいろなレストランが800円くらいからのリーズナブルな価格でランチメニューを提供しており、ファストフードもあって利用しやすいのだろう。2012年3月の平日、1階の羽田空港行バス乗場のすぐ近くにある「KEYUCA DINING」に入ってみた。メインテナントと思われる「KEYUCA」という家具店が運営しているイタリアンである。ピッツアまたはパスタとサラダ、コーヒーのセットで980円(写真下)。空港施設のイメージが随所に残る“ひと時代前”のトレンディーな雰囲気の中でいただくランチは、なかなか素敵であった。
水天宮をお参りの折、人形町の老舗での食事もよいが、このT-CATもなかなかの穴場と思うのだ。地下鉄水天宮駅からも地下通路で直結していて、便利である。
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