銀座に「高知」が店開き
2010年8月21日、高知県のアンテナショップ「まるごと高知」が銀座1丁目にオープンした。日本橋から銀座、有楽町、新橋にかけては自治体のアンテナショップの集積地で、ざっと数えても20店以上が出店している。相当の経費がかかるだろうに、2008年8月の鳥取(新橋)、2009年4月の山形(銀座1丁目)、そして今回の高知と、出店の動きは衰えていない。
東京における高知県のアンテナショップは、これまで築地場外市場の「コウチ・マーケット」と吉祥寺の「高知屋」の2店があったが、いずれも民間業者であった。今回は県が公社を作って自ら経営に乗り出した形である。単なる物販・飲食の提供にとどまらず、テストマーケティングの実施、企業等への商談の展開など、アンテナショップ本来の機能を果たしていくと県では意気込んでいるが、現実はなかなかそううまくはいかない。他県は冷ややかに見ているのではないだろうか。
さて、10時から行われたオープニングセレモニーには、地元で開催中の「土佐・龍馬であい博」のマスコット、龍馬とおりょうも参加し、愛嬌を振りまいていた。大河ドラマ「龍馬伝」の影響か、事前PRが利いたのか、数百人の客が列を作り、最大3時間待ちの客もいたとか。見本市やテーマパークではない、せいぜい都心のコンビニエンスストア程度の広さの店だ。入場制限で20人くらいずつしか入れない。10分おきに入れても1時間で120人、500人が並べばざっと4時間もかかる。この暑い中、ご苦労なことだ。翌日の日曜の昼過ぎにのぞいたら、行列はあったが10分も並ばずに入ることができた。そんなものである。店内は「普通」という感じ。入口周りからして全体に大人しく地味だ。「高知は面白いぜよ!」という主張が足りないのではないだろうか。
ところでこの立地、実は都内のアンテナショップで一番の人気と言われる沖縄県の「わしたショップ」のすぐ隣である。沖縄のほうは余裕の構えで「まるごと高知様、オープンおめでとうございます」のPOPを掲げ、高知の人出を沖縄らしい演出の店頭販売でちゃっかりいただいていた(写真右)。どうみても商売としての魅力は沖縄のほうに軍配が上がりそうだ。ただ高知のほうも、沖縄に寄ったついでに来てもらえる、という意味で、案外よいところに目をつけたと言えるのかもしれない。
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