ハリー・ポッターと最後の商戦
1999年12月に発売された『ハリー・ポッターと賢者の石』が508万部を売って以来、このシリーズは第2巻(433万部)、第3巻(382万部)、第4巻(350万部)、第5巻(290万部)、第6巻(212万部)と、たいへんな部数を売り上げてきた。ほぼ1年おき、毎偶数年に出版されているが、出た年は出版物の年間売上高が対前年度比で上がり、出ない年は下がる、そのくらいのインパクトがあるシリーズだ。
その最新刊にして最終巻、『ハリー・ポッターと死の秘宝』(初版180万部)が2008年7月23日に発売された。会社の周囲の3大書店に行ってみたところ、1店はまったく普通の新刊扱い、他の2点は平積み/面出しとはいえ、とくに仕掛けということもない。ビジネス書中心の街ということもあるだろうが、このシリーズは4巻以降、注文買切り制にしたことが大きいと思う。注文には必ず応じるが返品はなしということで、「できるだけ仕入れて山と積み、売れ残ったら返品」という常套手段がきかない書店は、予約をとるのに必死になった。アマゾンは2007年11月から、紀伊国屋書店も今年の正月から、予約受付中の宣伝を何度も見た。そのアマゾンは、8万7000の予約をとり、しかし仕入れは10万部だという。いかに慎重になっているかが分かる。そういうわけで今回は、発売が開始されても書店店頭は冷静なもの。最後の商戦は、既に終わっていたのだ。
CONTENTS