再開発の流れの中で
最近、当社のまわりでは再開発の動きが活発で、より大型の、設備の充実したビルへの建て替えの動きが急だ。そんなにビルが必要なのかと思うが、実は都心のオフィス需要は非常に旺盛でビルが足りない。オフィス仲介業の三鬼商事によると、2007年12月末現在、都心5区の貸ビルの平均空室率は2.65%。4年前の8%台から大きく低下した。ビルの建て替えで立ち退きに遭った会社などは、物件探しにかなり苦労しているようだ。
こうした中で、長く営業を続けてきた店も閉店を余儀なくされている。新橋の老舗中華料理店「新橋亭」の本店は2007年3月に休業になった。「イイノホール」で知られる当社近くの飯野ビルも建て替えが決まり、それに伴い、時々利用していた喫茶店も同年9月に店じまいした。
新橋亭は休業の告知の中で「思えば昭和21年、戦後復興の兆しが見え始めた頃、新橋の地に開業できたことは本当に晴れがましいことでした」と創業時を振り返り、喫茶店の告知には「(開店の)昭和35年当時、ファーストのコーヒーは60円でした」とあって、国電初乗り20円、週刊誌30円といった当時の物の値段が比較紹介されていた。
どちらの文面からも、店への思いや客への感謝の気持ちが伝わってくる。「長い間お疲れさま」と、思わず語りかけたくなってしまう。
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