架橋100周年の
記念日に
日本橋は徳川家康の江戸城入場により1603年に架橋され、五街道の起点として江戸の繁栄の象徴となった橋である。現在も日本の道路の起点となっており、東京まで何キロという表示は、この日本橋まで何キロということらしい。
もちろん昔は木の橋で耐久性が乏しく、特に江戸時代は火事が多かったこともあり、たびたび架け替えが行われ、現在ある橋は実に20代目。しかしこの20代目の橋は非常に堅固な設計の石橋であったため、明治44年(1911)の竣工以来、すでに100年の歴史を積み重ねている。ということで、今年2011年は竣工記念日にあたる4月3日を中心に「架橋100周年」を祝うイベントが賑やかに行われるはずであった。
それが、3月11日の大震災の発生で急遽中止になってしまった。しかし、さすがと思わせたのは、単に中止するだけで終わらず、代わりに「東北関東大震災復興支援チャリティー」の物産展を開催したことである。主催者である「名橋日本橋保存会」の皆様の心意気が感じられる。
4月3日当日は、震災の影響で消費者が外出を控える傾向が続いていたうえ、さほどPRをしなかったこともあり、人出は今一つであった。橋のたもとの「滝の広場」に新しく設置された「日本橋船着場」も、本来なら日本橋川を船で巡る企画を楽しむ客でにぎわうはずが、開設に伴う安全祈願祭だけが静かに行われただけで、ゲートは寂しく閉じられたままであった(写真右下)。それでも物産展のほうは「架橋100周年」の関連グッズの販売(写真右上)に加え、有名店が破格の値段で商品を提供し、なかなかお得な買物を楽しむことができた。募金をした人には、気の利いた粗品を提供する嬉しい心づかいもあった(写真左下)。こうした催しによって、被災地の支援と共に、少しでも消費を刺激して過度の自粛ムードの改善につなげることができれば、日本経済全体にもプラスになることだろう。
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