静かなヌーボー解禁
2008年11月20日、11月の第三木曜日、ボジョレーヌーボー解禁日である。どこかで試飲をやっていないかなーと、会社の近くを歩いてみた。記憶にある専門店を4店回り、そのうち西新橋の「カーヴ・ド・リラックス」と虎ノ門の「升本」で試飲にありつくことができた。ごちそうさま。
それにしても、盛り上がりはいま一つ。あまり話題にもなっていない。報道によると、今年の輸入量は54万ケース(750ミリリットル瓶12本換算)で前年比2割減。ピークの2004年に比べ、ほぼ半減の見通しという。さらに今年は景気の悪化もあり、どこも強気の販売計画は立てられないでいるようだ。
ボジョレーヌーボーの輸入は減っているが、ワイン全体の需要が落ち込んでいるわけではない。国税庁の資料をみると、日本の酒の消費は長期低落傾向にあり、好調なのはリキュール類や雑酒、焼酎といった分野に限られる。ワインは年によって増えたり減ったりと不思議な動きを繰り返しており、平均すれば横ばいである。ボジョレーヌーボーの人気は必ずしもワインの需要拡大につながっておらず、輸入のピークであった2004年もワイン全体の消費は少ない年だった。このイベントに過度の期待をせず、地道においしいワインの普及・育成に努めていこうというムードが強まっても不思議はない。
そもそもボジョレーヌーボーはフランスのぶどうの収穫祭のようなもの、何もわざわざ化石燃料を大量に使って空輸し高額になったワインを飲まなくてもよいではないか、地球環境にもやさしくない、と考える人もいるだろう。そのせいか今年は、何とPETボトルを使って軽量化し物流コストを下げた商品も発売されている。そこまでしなくても、国産ぶどうを使った“地産地消型”のヌーボーを飲むほうがずっと今流では、と思うのだ。ちなみに山梨県では、今年から県産ワインの解禁日を11月3日に統一し、「山梨ヌーボーの日」としてアピールしている。
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