静かに働き続ける清掃工場
先日、晴海で見た「中央清掃工場」に興味がわき、見学に行ってきた。毎月第2土曜日に、一般の見学を受け入れているのだ。改めて外観を間近でみると、三角柱の高い煙突と工場の大きさが印象的。煙突の高さは177.5メートルで、23区では豊島清掃工場に次ぐ2番目だが、東京ドームの建築面積の約3分の2ほどの敷地、1日600トンのごみ処理能力は、共に中程度の規模という。年2回の点検・メンテナンスの期間を除き、24時間ごみを燃やし続けているのだが、構内は静かで、何の匂いもない。
清掃工場とは一般の家庭や会社から出る可燃ごみを焼却処理する工場のこと。不燃ごみ・粗大ごみ等は、別の専門の施設で処理される。東京23区のごみは、各区が収集し、東京二十三区清掃一部事務組合(略称「清掃一組」)が焼却やリサイクルなどの中間処理をして、都が埋立等の最終処理を行う流れになっている。ちなみに清掃一組は、地方自治法に基づき、東京23区がごみを共同処理するために2000年に設立した特別地方公共団体であり、21の清掃工場、2つの不燃ごみ処理センターなど30余りの施設を管理運用している。中央区にあるから中央清掃工場なのだが、処理するごみは中央区のものが約半分、その他に千代田、文京、台東、わずかだが新宿区からも運ばれてくる。23区のうち6区が清掃工場を持たないことや、ごみの輸送効率を考えて、このような仕組みになっているのだ。
ごみ処理というのは、いかに減量し、また資源として有効利用するかの戦いのようである。清掃工場ではごみを焼却し灰にすることで容積を20分の1にする。その灰は別の施設で高温で溶かし、砂状に固めてさらに半分の容積になり建築資材として利用される。また、ごみの燃焼で発生する熱で蒸気を作り発電をする。その電気を工場稼働に利用する一方、電力会社等に販売している。中央清掃工場が発電する電気の年間販売額は6億円にもなるそうだが、それでも処理費用の一部しか賄えない。ごみ処理にはお金がかかるのだ。そして、どうしても最終的に再利用できないごみが残る。現在、それらはお台場・有明地区よりさらに外海側の中央防波堤外側埋立処分場に埋め立てられている。ここは東京23区最後の処分場で、数10年後には満杯になると予想されており、どのくらい延命できるかが大きな課題だ。やはり、ごみは減らさなくてはいけない、と改めて思うのである。
中央清掃工場の見学は工場へ直接(03-3532-5341)、中央防波堤埋立処分場の見学は東京都環境整備公社(03-3570-2230)へどうぞ。
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