アカデミー賞の恩恵
神谷町「オレンジのバイテン」は、放送作家やJ-WAVEのナビゲーターなど多彩な活躍で知られる小山薫堂氏の事務所入口をパン販売所にしたものだ。
「カノッサの屈辱」や「料理の鉄人」など画期的なTV番組を作り出してきた小山氏は、日光に明治6年に創業された金谷ホテルの顧問も務めているが、同ホテルが100年前に出していたカレーのレシピに基づくという「100年カレーパイ」が人気だ。
そんな小山氏が映画の脚本に初挑戦した『おくりびと』は、国内外で60の賞をとる大成功となり、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。授賞式に行く前に、小山氏は店に張り紙を出した。「『おくりびと』が受賞したら、パンを無料で配ります」。
そして『おくりびと』は見事61冠目を受賞、約束の無料配布が2009年2月26日に行なわれた。
朝から多くの客が来店したという。午後4時に行くとパンケースはすべて空で、既に200は出たというカレーパイだけが残っていた。ありがたく頂きました。味の濃いカレーソースはクリーミーで、パイ皮もたいへん美味しかった。事務所の応接スペースは祝いの花でいっぱいだった。
『おくりびと』は2008年9月13日の封切りだが、アカデミー賞受賞時に上映していた劇場が有楽町マリオンにあり、たいへん混雑していた。拡大凱旋上映する模様で、すでに33億円超の興行収入をあげている同作品は、松竹久しぶりの大ヒット作となりそうだ。
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