古代インドに出会う
東京メトロの駅貼りポスターに載っていた寺のイラストがずっと頭の中に残っていた。築地本願寺という有名な寺で、場所は地下鉄日比谷線築地駅のすぐそば。当社のクライアントからも徒歩10分ほどで行ける距離であり、ちょっと足を伸ばしてみた。
門をくぐると、まるで西方の古代遺跡にでも紛れ込んだような錯覚を覚えた。そこには、石造りの重厚で荘厳な建物がそびえていた。内部は外観とはかなり異なる趣だったが、今まで持っていた寺のイメージとは異質の不思議な世界が広がっており、未知の文化に触れるような緊張感が何とも心地よかった。この建物は古代インド様式の寺院建築で、東京帝国大学工学部の伊東忠太教授が設計し、昭和9年(1934)に完成したものだそうだが、格式ある寺が、このような建築を決断したこと自体が大きな驚きだ。
ところで、もともと本願寺は鎌倉時代、親鸞が広めた浄土真宗の寺で、最初にできたのが京都の本願寺。江戸時代になって本願寺が東西に別れ、東本願寺ができてから西本願寺と呼ばれるようになったが、単に本願寺といえばこの西本願寺をさす。築地本願寺はその西本願寺の別院として江戸時代に建立され、今日に至っている。一方、浅草本願寺は最初、京都の東本願寺の別院であったが、紆余曲折を経て、現在は浄土真宗の中でも別の宗派の寺となっているとのことだ。ややこしい。
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