浜離宮でお花見
桜の季節になった。今年2011年は東日本大震災の影響でどこも花見は自粛ムードだが、何も大騒ぎをせずとも花は楽しめる。4月最初の土曜日、桜が咲き始めたとの情報を得て、汐留から少しばかり海岸寄りにある浜離宮恩賜庭園を訪れてみた。
浜離宮は、6代将軍徳川家宣の時に将軍家の別邸が設けられてから「浜御殿」と呼ばれるようになり、歴代将軍の手で拡張整備され、明治以降終戦までは皇室の離宮となっていた場所である。現在は園内に100本以上の桜の木があるそうだが、もともと宴会は禁止だから、いわゆる花見のメッカというわけでもない。個人的には、都心にありながら、30万本という菜の花畑と桜をダブルで観賞できることが一番の魅力ではないかと思う。
もともと海岸の埋立地だが、幸いにして、大きな石灯籠が倒れているのを見かけた以外、さしたる地震の被害はないようだった。一時は来園者が激減したと聞き、閑散としているのではないかと心配したが、それも杞憂であった。この日はよく晴れて暖かかったこともあって意外に人出が多く、さすがに外国人の姿はまれなものの、日本人ツアー客が結構入って賑わっていた。園内では、かつての徳川将軍家の庭園にふさわしく「江戸大神楽」の傘を使った曲芸なども披露されており、来園者からは時折拍手や歓声も上がって、華やいだ雰囲気を醸し出していた(写真下)。
菜の花は、ピークを過ぎたとはいえまだまだ見事な咲きっぷりで、まぶしいほどの輝きを見せていた。桜はようやく数本が花開いたばかりだったが、明るい春の日差しを浴びて、みずみずしい生命感をみなぎらせていた。歩きまわっているうちに何となくウキウキとして、元気をもらえたような気がした。どうしても気持ちが内向きになりがちな今だからこそ、花見くらいは出掛けたほうがよさそうである。
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