新春に鷹を観る
東京都には、文化財保護法による「名勝」等に指定され有料で公開されている9庭園がある。いずれも江戸時代から明治・大正期につくられた名園である。これらの庭園では、四季折々、日本の伝統的な文化を伝えるイベントが開催されており、2009年も1月2日・3日の2日間、9のうち8の庭園で「正月開園」が行われた。わが西新橋に最も近い「浜離宮恩賜庭園」を訪れてみた。ここの正月開園の目玉は、「放鷹術」(ほうようじゅつ)つまり鷹を使って狩りをする技術の実演だ。
江戸幕府や明治政府は鷹狩りを保護・奨励し、その技術者である「鷹匠」を多数抱えていた。浜離宮にはかつて使われた「鴨場」という鴨猟の施設が残されているが(写真右上)、鴨猟の時、網で捕らえ損ねた鴨を捕獲するために鷹匠が腕をふるったそうである。
しかし現在、「放鷹術」は民間の有志の手で守られているのみである。それを一般に披露し、日本の伝統文化や、減少している猛禽類の保護に関心を持ってもらおうと企画されたのがこの公演で、今年ですでに17回を数えるという。当日は、地上48階・高さ210メートルの電通本社ビル屋上から放たれたハヤブサが地上の鳩の姿を確認し、急降下して捕獲する演技をメインに(ハヤブサの動きを追えず撮影不能)、鷹匠の手から別の鷹匠の手へと飛び移らせる「振り替え」(写真中)などの技が披露され、数百人にも及ぶ観客の喝采を浴びていた。初夢にみると縁起がよいものとして「一富士、二鷹、三茄子」と言うが、実物の鷹を目の当たりにできるのだから誠に縁起がよい。ほかにも、汐入の池に浮かぶ「中島の御茶屋」で優雅に抹茶を楽しんだり(写真左下)、羽根つき、独楽回し、ベーゴマ、竹馬など昔ながらの遊びに興じるコーナーもあり、十分に正月らしい気分にひたれる催しである。
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