キャンドルの地上絵
2010年12月18日、お台場海浜公園の砂浜で「キャンドルナイト in お台場」というイベントが行われた。これは東京都港湾局などが中心になって企画したイベントらしく、今年で4回目。「電気を消して、スローな夜を」を合言葉に、ロウソクを灯したペーパーランプで地上絵を描き、環境について考えようというのが趣旨になっている。
この日は午後1時ごろから、早稲田大学のアカペラサークルなどの演奏が行われる中、ボランティアの手でペーパーランプの設置が始まり、日没が迫る5時ごろには次々に点灯され、クリスマスツリーや流れ星の絵がカラフルに浮かび上がった。特に派手な演出はなく、また大勢の人が殺到して歓声をあげることもなく、落ち着いた時間が流れていった。ゆらめくロウソクの灯は、確かにやさしい気持ちにさせてくれる力がある、と思う。
だがこのイベント、環境へのメッセージは伝わっているのだろうか。そもそも周囲の電気を一斉に消して行われるキャンドルナイトとは違う。電気を消すどころか、むしろ対岸のビルや行き交う船の明かり、レインボーブリッジのライトアップなどと一体になったイルミネーションイベントのようになってしまっているではないか。背後に広がるお台場の商業施設でもクリスマスのイルミネーションが煌煌と輝き、大勢の人が繰り出していた。レインボーブリッジと高さ20メートルの「レインボーツリー」を一緒に撮影できるハート形オブジェ(写真下右)の前には何組ものカップルが列を作り、次々に記念写真をとっていた。LEDの普及でイルミネーションも省電力化が進み、盛んになる一方である。こんな時期、こんな場所で、ロウソクで環境を訴えるのはちょっと無理があるかもしれない。
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