宮神輿は船に乗って
中央区佃1丁目にある住吉神社。江戸開府にあたり、大阪の佃村の漁民が徳川家康の命により江戸湊の海上に「佃島」を築いて移り住んだ際、故郷の氏神の分霊を祀ったのが起源といわれる。その例大祭は「佃祭」の名で知られ、通常は8月6日、7日に行われるが、3年に一度の本祭は土曜・日曜を挟んで4日間開催され、宮神輿の渡御に加えて、各町の神輿や大きな獅子頭が氏子たちに担がれて揉み合うといった特別なプログラムで盛り上がる。本来なら昨年2011年がその本祭のはずだったが、東日本大震災の発生で延期され、今年2012年8月3日から6日まで開催された。
残念ながら今回、4日の獅子頭の渡御には行けなかったが、5日は朝6時から始まる宮神輿の宮出し(写真上)に間に合うよう、熱戦が続くロンドンオリンピックの中継も見ずに、始発電車に乗って出かけた。佃には「盆踊り」以来の久々の訪問。懐かしい昭和の風情を残す街は、伝統の祭りの空気感に包まれていた。天を衝くようにはためく6本の大幟、各町の神輿や獅子頭の見事さにしばし感動(写真下)、威勢の良い宮神輿の渡御に元気をもらった。晴海沖の海上で執り行う祈願祭のため宮神輿を浮き桟橋に乗せ、艀で引いて隅田川をゆく「船渡御」の行事も、なかなかの趣であった(写真2番目)。
それにしても、公共交通機関の利用もままならない早朝なのに、かなりの人出。もし出かけやすい時間帯に開催されたら、この狭い街に人が集まりすぎて大変なことになるに違いない。「佃島」の伝統を今に伝えるユニークな祭りの一端を体感することができ、よい早起きであった。
CONTENTS