お江戸の活気 品川宿
2015年9月27日、前日から旧東海道品川宿周辺で開催されていた「しながわ宿場まつり」に立ち寄った。品川宿は日本橋を発っておよそ2里・8キロ地点に位置する東海道の最初の宿場だ。この祭りは往時の賑わいを再現し地域活性化につなげようという地元商店会主導のイベントらしく、すでに四半世紀の開催実績を持つという。
JR品川駅高輪口を出て第一京浜(国道15号)を南下、八ツ山橋という交差点で左に折れる。この交差点は港区と品川区の境目にあり、初めて歩いて渡ったが、JRと京急の線路が立体交差していて、なかなか面白い景色。間もなくして、京急北品川駅のホームが見える踏切を渡ると祭りの会場に至る。
品川駅の南に北品川駅とは何とも奇妙だが、もともと品川宿の中心はより南の青物横丁駅寄りにあり、その北にあるから北品川ということで、古くからある地名らしい。港区高輪に設けられた品川駅は、高輪より知名度の高い品川の名をとって開業したと聞く。なるほどと思う。
祭りは北品川から南品川の青物横丁までの旧東海道沿いに続く商店街と、周辺の公園等が会場になっており、行く先々で多彩な出し物や露店が楽しめ、約2キロの道のりも苦も無く歩けてしまう。諸国のご当地グルメや郷土芸能も多数参加して(写真中)まさに東海道の宿場町にふさわしい賑わい。メインイベントの1つ、江戸の風俗を再現した仮装行列も楽しく、出演者はパレード終了後もその衣裳のまま会場を行き来し、祭りの風景にとけ込んでいるのが面白い(写真上)。
さらにこの日は、祭り会場の南端、青物横丁駅近くにある品川寺(ほんせんじ)で、江戸時代から続く伝統的な行事、観音大祭があり、修行僧による火渡り荒行が執り行われていた(写真下左)。修行僧に続いて火渡りの儀に臨み、邪気を払い大願成就を祈念する一般参拝者も後を絶たず、順番を待つ長い列が山門の外まで続く人気ぶりだった。
祭り会場となった旧東海道は、車がやっとすれ違えるほどの狭い道だが、それが往来する人と迎える店との距離をより近くし、商店街の原点を見たような思いがした。このような街並みが幹線道路のすぐ近くに残っていることも嬉しい発見だった。
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