麻布十番福づくし
2009年11月12日は一の酉。日本武尊(やまとたけるのみこと)や天日鷲命(あめのひわしのみこと)を祀る関東各地の神社で「酉の市」が催され、にぎわいを見せた。会社の近くでは、築地の波除稲荷神社と、麻布十番にある十番稲荷神社で毎年開かれているが、港区唯一の十番稲荷神社の酉の市は、規模こそ小さいが商店街が露店を出して「酉の市バザール」という催しを同時開催しており、近隣の住人や会社帰りの人が気軽に楽しめる地域イベントになっている。
この十番稲荷神社、都営地下鉄大江戸線麻布十番駅A7出口のすぐそばにある。戦後の区画整理で、2つの神社が合併してできた神社という。まことに便利なのは、港区の七福神がすべて乗り合わせた宝船を祀っていることで、ここを訪れると、七福神巡りが一カ所で済んでしまう気分になれる。今回も早速宝船をお参りし、酉の市の縁起物、福を掻き込む「熊手」は見て楽しむだけにして商店街へ。夜店の雰囲気を味わいつつ、まずはちょうど100年前の明治42年(1909)創業でご主人が「およげ!たいやきくん」の鯛焼き屋のモデルになったことでも有名な「浪花屋総本店」に立ち寄り、1匹150円のめでタイ「鯛焼き」をゲット。1匹ずつ焼く「一丁焼」、しかも焼きたてなのでジューシーな粒あんの水分が皮に移っておらず、パリッとした皮の食感とのバランスが抜群である。そして次に訪ねたのは、こちらも創業明治43年という老舗「紀文堂」。お目当ては1個100円の「七福神人形焼」だ。七福神と言うが、お店のポリシーで戦いの神様である毘沙門天は入っておらず、実際は六福神。小ぶりだが、弾力のある薄皮に上品なこし餡がぎっしり包まれていて、これがまたおいしい。「熊手」は求めずとも、わずかな滞在時間にしっかり福をいただいてしまったのであった。
酉の市は、暦の関係で三の酉まである年もあるが、今年は11月24日の二の酉まで。それが終わると、今年もあと1カ月余りである。
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