お昼休みに千日詣り
会社近くにある愛宕神社の「千日詣り」に行ってきた。前日まで降っていた雨も上がり、周辺はビジネス街、平日の昼時ということもあって、近隣の会社に勤める人たちの参拝も多く、かなりの賑わいを見せた。
「千日詣り」とは、この日に参拝すれば1日で千日分のご利益があるというもので、毎年6月23・24日に開かれる。多くの神社では6月末日に、新年から半年間の厄を祓う「夏越しの大祓」(なごしのおおはらい)が行われるというが、愛宕神社の祭事でこれに該当するのが「千日詣り」だそうだ。「茅の輪くぐり」といって、茅の葉で作った大きな輪をくぐって無病息災と商売繁盛を祈願する神事が行われ、境内には縁起ものとして「ほおづき市」が立つ。ほおづき市といえば、7月9日・10日に開かれる浅草寺が有名だが、ほおづき市の歴史は愛宕神社のほうが古いのだ、と同社はアピールしている。
さて、ほおづきは、漢字では「酸漿」「鬼燈」と書くそうだ。「酸漿」(さんしょう)は漢方の薬としての呼び名、「鬼燈」は中国の小さな赤い提灯を意味するらしいが、実にその姿をよくイメージしている。代表的な夏の風物詩の1つだが、特に私の記憶ではお盆と結びつく。仏様の道案内の提灯として、キュウリの馬、ナスの牛などと一緒に仏壇に飾られ、ろうそくの揺れる光に照らされて、神秘的な空間を作りだしていた。今は亡き祖母が、赤く熟したその実をよくもんで楊枝などを刺して丁寧に種を抜いたあと、皮を口に入れて笛のように鳴らし、子供たちを楽しませていたのを思い出す。
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