日比谷公園の「収穫祭」
2012年11月18日、日比谷公園で「土と平和の祭典2012」というイベントが開かれていた。これからの農業と暮らしの在り方について独自の視点からメッセージを送り、志半ばで世を去った藤本敏夫さんの遺志を継ぎ、妻の加藤登紀子さんと娘の藤本八恵さんが中心になって2007年から始めた催しらしい。その詳細について語る知識もないので、パンフレットに謳われた「大地に感謝する収穫祭」「全国から生産者が集結、日本最大級の環境配慮型農業と農的暮らしのマルシェ」を理屈を抜きに楽しむことにした。
会場にはたくさんのテントが並び、出店者自慢の出来たてのホットメニューや採れたての野菜が豊富に提供され、想像をはるかに超える人出に改めて食べ物の力というのは大したものだとびっくり。来場者はそれぞれに“大地の恵み”に舌鼓を打ちながら特設ステージのアーティストの演奏に耳を傾け、あるいは買物を楽しみ、また子供たちはバンブーピラミッドという竹で作られた大きな遊具に夢中になっていた。不思議だったのは、会場にいる人々が総じて自然や大地に溶け込むような色調の服装をしているように見えたこと。この日は歩行者天国で賑わう銀座中央通りに立ち寄ってから会場入りしたためか、よけいにその地味さが印象的だった。独特の空間が確かにそこに形成されていて、人にやさしく環境にやさしい「農的な暮らし」に、ほんの少しだけアクセスできたような気がした。お土産に、生で食べてもおいしいマッシュルームや、ジャンボパプリカなどを買い求めて会場を後にしたのであった。
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