レトロが楽しい街へ
2015年10月10日から、「東京駅~日本橋 昭和レトロめぐり」というイベントが行われていた。鉄道の起点・東京駅と道路の起点・日本橋、日本の近代化の歩みが詰まったこのエリアをぶらりと巡って時間を超えた新しい発見をしてみようといった趣旨らしい。
巡り歩くモチベーションとなる企画の1つは、イベント用に再現された昔の鉄道切符。硬い厚紙でできていて「硬券」というそうだ。特設の6カ所の「駅」で散策マップと共に配布され、各駅ではかつての鉄道員の方に鋏を入れてもらえる演出もある。スタンプラリーの応用形といったところ。ちなみにその6カ所は、東京駅(八重洲口グランルーフ)、大丸東京店、八重洲地下街、日本橋高島屋、日本橋三越、コレド室町1と、いずれもわかりやすいエリアの代表的なスポットで、容易に歩いて回れる範囲。たとえ6種類全部揃えても七福神巡りのようなめでたさも無いのだが、1枚2枚もらい始めると俄然その気になって踏破し、集めた6枚を特製台紙に貼り揃えてにんまりしている自分が可笑しい。
さらにコレド室町と人形町甘酒横丁からは、期間中の数日間だけエリア内を特別運行するレトロなデザインの無料バスが出ており、これまたせっかくの機会だからと列に並んで乗車、ガタガタと揺れるクッションの悪さが昔の遊園地の乗り物にも似て、それが街中を走るのが妙に楽しかったりする。最近の東京は、江戸時代からの伝統と近代化の遺産を新しい街づくりに活かして、面白い観光資源が増えてきているなあ、と改めて感心。過去のものは、古い世代には懐かしく、それを知らない世代の目には新鮮に映ることもあろう。古いものは壊すのが当然といった考え方から、古き良きものは活かそうという考え方にシフトしてきているのは、悪くない傾向ではないだろうか。
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