美味しくてためになる
食育の催し
2015年2月24日・25日の2日間、東京国際フォーラムで「第5回全調協食育フェスタ」という催しがあった。全調協とは全国調理師養成施設協会のことで、会長は服部栄養専門学校の校長を務める服部幸應氏。我が国の食生活や食文化の向上発展をめざし、服部氏自身も力を尽くした「食育基本法」の制定からちょうど10年の今年は、和食のユネスコ無形文化遺産登録や、2020年東京オリンピック招致の成功もふまえ、「Shoku-ikuでお・も・て・な・し」がテーマに掲げられた。会場も昨年の都立産業貿易センターから今年はメジャーな東京国際フォーラムに移り、力の入った開催となった。
服部氏をはじめ、食文化や調理の専門家の講演はなかなか興味深く、密度の濃いものであった。また、この催しは調理師学校等の生徒が腕を競う「調理技術コンクール全国大会決勝」の晴れ舞台でもあり、展示された見事な作品の数々には調理の技術を磨く若い人たちの思いが凝縮されていて、新鮮な驚きがあった(写真右上)。会場には、食品や調理機材の関連企業、地方自治体等の情報発信と物販のコーナーのほか、「Shoku-iku茶屋」と銘打ったコーナーがあり、10校ほどの調理師学校がオリジナル料理や地元の郷土料理などをリーズナブルに提供していた。個人的には、「江戸東京蒸し野菜」(写真中左)や「紅芋汁粉」(中右)の美味しさや、「ねぎ入りイチゴジャム」「シソ入りリンゴジャム」といった野菜とジャムの意外なコラボレーションにテンションが上がった。全国6都府県のお雑煮を、調理師学校が調理を担当して提供する企画もあり、あご(とびうお)の出汁を使い魚(ぶりの切り身)の入った博多雑煮を初めて食したのも、なかなか得がたい経験であった(下右)。
2日間の入場者数は、昨年の9300名に対し今年は11900名に増えたそうだが、この会場にしては不満な数字だろう。ちょっと「勉強」っぽいところに集客力の限界があるのかもしれないが、食生活をより豊かにするためにも、また調理を学ぶ若い人たちを応援する意味でも、もっと注目して良い催しではないだろうか。
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