東京の「島」に親しむ
今更いうまでもなく、普段あまり意識することもないのだが、伊豆半島南方の太平洋上に連なる伊豆諸島や小笠原諸島は東京都に属する島々である。東京23区・多摩地域に対し、島しょ部または島部と呼ばれ、2町7村からなる。人口は東京都全体の0.2%にすぎないものの、面積では18.5%と意外に高い構成比である。伊豆大島までは都心から約100キロ、小笠原の父島・母島までは1000キロ余りで東京―博多間くらいの距離だろうか。伊豆大島までは高速ジェット船で2時間弱、飛行機で30~40分ほどで行けるが、小笠原にはまるまる1日以上を要する船旅となる。
その定期航路のターミナルである竹芝桟橋・竹芝客船ターミナルで、2010年5月22・23日の2日間、「東京愛らんどフェア・島じまん2010」が開催された。島しょ部の観光や地場産業の振興を図ることを主目的に2年に1度開かれているイベントで、今年で10回目だそうだ。各島々のブースで自慢の名産品が販売され、中央のステージでは小笠原村の「南洋踊り」(写真上左)をはじめ、各地に伝わる珍しい伝統芸能が次々と披露された。
かなりの人出だったが、八丈島の「島寿司」など人気商品の長蛇の列は避け、「島の焼酎バー」に立ち寄って、小笠原ラム酒をベースにした美しい海を連想するカクテル(写真上右)を口にし、ささやかに南国気分を味わった。それにしてもイベントの内容が素朴で庶民的すぎないか。「くさや」「明日葉」「椿油」といった伝統的な産物中心では、観光の振興にも限界がありそうだ。船旅の楽しさを味わえる船上での企画もほしかったし、もっとリッチで庶民の憧れの対象になるような要素もどこかにないと、ちょっと将来は厳しいかな、という気がするのだが。
なお、この竹芝客船ターミナル1階には「東京愛らんど」という物産店があり、飲食コーナーも併設されていて(写真下)、いつでも気軽に島の名産に触れることができるようになっている。
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