コンサートホールで
遊ぶ
2015年4月3日から5日まで、メトロ六本木1丁目駅、溜池山王駅からほど近いアークヒルズで「さくらまつり」が開かれていた。4日土曜日に訪れてみたが、不安定な天気がどうやら持ちこたえたこともあり、グルメ屋台や特設のマルシェが出店したアーク・カラヤン広場は結構な人出で賑わっていた。特にこの4日は、エリア内にあるサントリーホールの「オープンハウス」が人気を集めていた。世界でも最大級のパイプオルガンを有する本格的なコンサートホールが1日解放され、ミニコンサートや子供向けのアトラクション、ホール内のガイドツアーなどが楽しめるこのイベント、今年で11回目というが、施設の特徴をいかんなく発揮した優れた企画で、「サントリーホールで遊ぼう!」という呼びかけのコピーも素敵だ。コンサートは、進行が巧みで初心者にも自然と興味を持たせる演出がなされ、子供客が多いにも関わらず、奇声を発したり走り回ったりする姿が極端に少ないことに驚かされた。またガイドツアーは、サントリーらしく「お酒」に絡めたホールの施設やデザインの紹介も興味深かった。普段は立ち入れないステージ上の指揮台に立って写真撮影ができる企画や、子供たちが演奏家と一緒にステージで歌う企画なども好評で、さすがプロのおもてなしだと大いに勉強になった。
サントリーホールはアークヒルズ開業と同じく1986年の開館で、2007年のリニューアルを経てすでに30年近い歴史を持つが、全く古さを感じさせないどころか、まるで時を刻んで原酒が熟成を重ねていくような趣を感じさせるのは、やはり優れた施設であることの証明なのだろうか。周辺の桜並木はもうだいぶ散りはじめていたが、思いがけず楽しめた「さくらまつり」であった。
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