行った気分の「京の夏の旅」
京都市と京都市観光協会が行っている「京の夏の旅」キャンペーンが、今年2015年は40回目ということで、6月19日から21日まで、六本木ヒルズで記念のイベントが開催されていた。
京都の夏の大きな見どころといえば、八坂神社の祭礼である祇園祭。神輿が神社を出て渡御する神幸祭をさす前祭(さきまつり)と、再び神社へ戻る還幸祭をさす後祭(あとまつり)で構成され、約2週間にわたって開催される。ハイライトは、前祭・後祭それぞれ1日ずつ行われる山鉾巡行だろう。関東育ちには山車のひきまわしといったイメージだが、鉾、舁山(かきやま)、曳山(ひきやま)、屋台、笠鉾などと分類される様々な特徴を持つ山鉾が、10基、20基と町に繰り出す姿は、それは絢爛豪華という。そのうちの代表的な屋台の1つで、後祭の最後を往く「大船鉾」が東京に初めてやってきたというのが、イベントの売りでもあった。
実はこの大船鉾、NHK大河ドラマ「八重の桜」に続き「花燃ゆ」でも描かれる幕末、1864年の会津・幕府軍と長州軍が戦った蛤御門の変(禁門の変)による大火で焼失、150年の時を経て再建された貴重なものという。釘を全く使わない構造で、今回、会場で組み立ての様子を見せることもイベントのプログラムに入っていた。組み上がった全長8メートル、高さが7メートル近くある巨大な船形の山鉾は展示してあるだけでも存在感があり、これが祭りで実際に動く姿はさぞかし豪壮であろうと想像された。残念なのは、屋台部分の造作がほとんど白木のままであったこと。往時の漆塗りの姿を復元するにはまだまだ膨大な月日と費用が必要で、その道のりは遠そうであった。
イベントでは、大船鉾でのお囃子の演奏をはじめ、舞妓さんの舞、京友禅のきものショー、十二単着装ショーなどを楽しみ、京都の伝統文化の一端に触れて、ちょっとした満足感あり。どうやら若干1名には、京の旅へと誘うまでのキャンペーン効果はなかったようである。
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