雨も楽しき七夕祭り
7月7日には、いろいろな施設で七夕のイベントが行われる。わが港区で、なかなかの充実ぶりと思えるのが増上寺の七夕祭りだ。今年2012年の七夕は、2007年から5年ぶりの土曜日。ゆっくり楽しめそうだな、と思っていた。
しかし天気はあいにくの雨。織姫と彦星が1年に1度だけ会える日がなぜ梅雨の時期なのか、ずいぶん意地悪な話だと疑問を感じていたのだが、実は昔の七夕は旧暦で行われていた。旧暦と新暦では1ヵ月は違う。今年に限って言えば、旧暦7月7日は8月24日である。つまり七夕はもともとお盆と同様、秋の行事であり、よい天気の日が続く時期に行われていたのだ。なるほどその頃なら日もだいぶ短くなって、早い時間に星空も見られるわけである。
さて、この日は悪天候にも関わらず、結構な人出であった。平日なら会社帰りのサラリーマン、OLが多いだろうが、土曜日とあって家族連れやカップルが目立ち、色とりどりの短冊にそれぞれの願い事を託し、笹竹に結んでいた。
本来なら、たくさんの短冊をたくわえた笹竹が立ち並ぶ境内で夕方5時から縁日が始まり、5時半から短冊祈願会、6時からコンサートとなるはずだったが、雨のため講堂(光摂殿)に場所を移しての開催となった。会場にはケータリングカーによる屋台村もでき、飲食物の持ち込みは自由、ビールやかき氷を手にワイワイガヤガヤの雰囲気の中で営まれる祈願会(写真左中)というのも、何ともゆるい感じで、さすが日本の宗教、と変な感心をしたのであった。
そしてコンサートのトップを飾ったのは、寺の年中行事の際に仏様を讃える「仏教讃歌」などを歌うという「増上寺合唱団」。法然上人(浄土宗開祖)のお姿が描かれた舞台で、まるでキリスト教会の讃美歌合唱隊のように歌うその光景は、新鮮な驚きであった(写真左下)。また、アカペラバンド「INSPi」のステージには、思わず引き込まれた。会場のざわつきは静まり、席を立つ者がほとんどなかったことも、その演奏の素晴らしさ象徴していた。
帰りは大雨に見舞われてしまったが、浴衣姿の若い女性が、裾をたくし上げながら小走りに信号を渡っていく姿もまた楽し、であった。
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